正確に伝える-時制、正確な動詞など

英会話初歩のうちは、ジェスチャーとか、あっちへ行ったりこっちへ来たり、ハグしたり、握手したり、肩をたたいたり、指さしたり、どうにかこうにか、意思疎通ができるものです。しかし、正しく伝えたいとき、厳密に話したいとき、説明して理解してもらいたいときは、必死に話すことも必要ですが、時制や正確な動詞を使うことなどはとても重要です。

 

今、話題にしている「それ」が、これからやりたいことなのか、今まさに起こっていることなのか、起こってしまってもうどうしようもできないことなのかを正しく言うことは、正しく伝わる大きなファクターです。日本の英語教育の教科書英語から入った人は、不規則動詞の過去形は耳なじみないため、とっさのときに言えないものです。

 

私自身も、「メント」meant 、意味するの過去形、「トート」taught 、教えるの過去形、「フルー」flew 、飛ぶの過去形、などは、英語圏での生活を始めてから、初めて生で人が使っているのを聞いて覚えました。人がよく、「アイメント…」と言って話し始めたりするのを度々聞いて、「メント」っていったい何? と疑問に思い、人に聞くのもはずかしいので、辞書を引いたら、mean 「意味する」の「ミーン」の過去形でした…。なんとも不思議な不規則動詞の変化形! fly 「フライ」「飛ぶ」の過去形が、「フルー」だなんて誰が想像できるでしょうか?  想像なんて誰もできないので、耳で人が発音しているのを聞いて覚えるしかないのです!  

 

 

■お母さんに、「宿題やったの?」と聞かれたとき、または職場のボスに、「これはもうやったか?」と聞かれたとき、

 

I will.   「アイウィル」「やります。」

I'm doing. 「アイムドゥイング」「今やってます。」

I did.  「アイディド」「もうやりました。」

Done!  「ダン」「もうやったよ!」(鼻を高くして言う!)

は、とても大きな違いです。この答えによって、この後の展開が変わってくる重要な時制です。 

 

 

■「だった」を訂正して「今もそうです」

-To be honest with you, I did go after you to make her jealous.  And it worked. 「正直に話すと、バレリーを嫉妬させるためにあなたを求めたの。で、それはうまくいったワ。」

-So what you are saying is you had no feeling for me at all, whatsoever? 「ということは、君は一切僕に対して特別な感情はもってなかったってこと?」

-No, no.  I did.  I  do.   「そうじゃないの。特別な感情はあったワ。今もあるワ。」It's just I started this for all wrong reasons.   「ただ、最初の動機が不純だったの。」

 

ビバリーヒルズ青春白書7-19話より。ケリーがトムを振る場面。I did.  「そうだった。」で終わってしまうと、ケリーはただの「男をたぶらかすかわいい仮面をつけた魔女」みたいですが、I do. と続けたことで、ケリーも普通の感情のある人間だと分ってホッとします。トムの立場もわずかながらアップします!  

 

 

-I think I'm hiding from her. 「彼女から逃げているような気がするんだ…。」

-I think you are too. 「私もそう思うわ。」

-It's just a little weird having her in my place. 「だって、レイチェルが家にいるなんて、ちょっと変な感じだよ。」

-I thought that's what you wanted!? 「あら!  それ、あなたが望んでたことじゃなかったの?」

-It was.... is!    I'm just...  「そうだった、いや、間違い! 今もそうだけど…。」「俺はただ…。」

 

ギルモア・ガールズ21話より。レイチェルといっしょに住むようになって、望んでたことだったはずなのに、レイチェルを避けているルークの本音が、「イト、ワズ」「そうだった、もう過去のことだ。」という言葉に表われています。あわてて、「イズ」と訂正しますが、ちょっとうそをついてる顔ですよネ。

 

 

■「あったかもしれない」と「あった」は大きな違いです

断定を避けるために言う「…かもしれない」は、とても便利で皆さんもよく日本語でも使う言い方ですが、覚えていないか、不確かなことなので、断定する「あった」とはとても大きな違いです。

 

-There may have been called.  「電話があったかもしれないワ。」

-There may have been?  You don't remember? 「あったかもしれない? 覚えてないの?」

-Things have been so hectic, you know, Brace Bridge Dinner.....and building a snow woman.... planning agly ugly baby gag...  That took time. 「ちょっとここのとこ忙しかったでしょ…、ブレース・ブリッジ・ディナーとか、雪祭りの雪像を作ったりとか、ぶさいくな赤ちゃんのジョークを考えたりとか…、そんなことで時間を取られて…。」

-Mom!  「お母さん! 」

-Yes, he called.  He called.  He called to invite you!  「わかったワヨ!  お父さんから電話があったワヨ!  電話があってあなたを家に呼びたいって!  」 And not too late to go!  「行くんだったら遅くはないでしょ! 」  He called to invite you!   So, there you  go!  I'm sorry I didn't tell you!  「お父さんがあなたを家に招いてくれるって!  今まで言わなくてゴメン!」

-He invite me over? 「お父さんが私を家に招待してくれるの?」

-Yes!  You deaf?  「そうよ!  耳が聞こえないの?」

 

may 「メイ」をつけることにより、「~かもしれない」になりますが、嫉妬からローリーに事実を言いたくないローレライが最初はわざと覚えてないふりをしています。本当に覚えていない、不確実な場合は may 「メイ」「かもしれない」は動詞にプラスする便利な言葉です。

ギルモア・ガールズ2-10話より。  

 

 

■「ワーク」と「ラン」は大きな違い

「ワーク」は「働く」で、間違ってはいませんが、ここでローレライが訂正したのは、「私はただ働いているわけじゃなくて、管理、運営してるのよ」とルークの元カノのレイチェルにアピールして、ちょっと張り合いたかったのでしょう。

 

-She works at the Independence Inn. 「ローレライはインディペンデンス・インで働いているんだ。」

-I run it, actually..... 「そこの管理をしてるんだけどね、実は…。」

-Sorry, she runs it...「ごめん、そうだったね、彼女はそこの支配人なんだ…。」

 

ギルモア・ガールズ 16話より。 

 

 

■ただの過去形から過去の推量に言い換える

微妙な違いですが、この場面では、could survive 「助かることができなかった」とモジーは最初にいいますが、それを断定することはできないので、should have survived 「助からなかったはずだ」という過去の推量を表す言い方に言葉を言い換えています。

 

-Nothing could survive the fire.  「あの火災では何も助かっていない。」

-...... (ニールからの視線)

-Nothing should have survived the fire.  「あの火災では何も助からなかったはずだ。」

-Thank you.  「(言い換えてくれて)ありがとう。」

 

ホワイトカラー3-1話より。 

 

 

■「うわさする」と「うわさの種になる」のは、大きな違いです

gossiping 「ゴシピング」は、「噂話をすること」ですが、これが、being gossiped about 「ビーイング、コジップト、アバウト」ですと、自分が、または自分たちが「うわさ話」のネタにされていますよ! 言動と行動には十分注意しましょうネ!

 

-It could be fun!  You and me working under the same roof.... gossiping by the water cooler.... 「君と僕と同じ職場で働くなんて、きっと楽しいヨ! ちょっと休憩のときに、人のうわさ話したりしてサ。」

-Yeah... or being gossiped about...  could be dangerous. 「まぁ、そうね…、だけど、私たち、噂の種になるかもよ。危険だワ。」

 

ロイヤルペインズ~救命医ハンク~9話より。 ジルと救命医ハンクの会話。ジルの病院で医者が足りないのでハンクは本命が見つかるまで、一緒に働いてもいいと提案しますが、こんなに目立つ、時の人たちを誰がうわさしないでしょう! ここはジルの言う通り、二人は「ビーイング、ゴシップト、アバウト」の方になりますね。

 

 

■「ユーアー?」「ゼイアー?」「あなたが? 」「彼らが?」

日本語でも、仕事で会社や団体を代表して話している場合には「私共は…」と言いますが、「私個人」や「あなた個人」のことを言っていないときには、we「ウィー」または  they「ゼイ」を使います。

 

-I just want to let you know that Hamptons Heritage is dropping its lawsuit.  「あっ、そうそう、言っておくけど、ハンプトンズ・ヘリテージ病院は訴訟を取り下げることにしたワ。」

-You are?  .... They are? 「そうですか。あなたが…、いや、役員会が、ですか。」 

 

ここでは Hamptons Heritage 「ハンプトンズ・ヘリテージ病院」は単数形になっていますが、ジルが They are? 「ゼイアー?」と言っているのは、役員会のメンバーがという意味で使っていると思われます。You are?「ユーアー?」と最初に言ってしまったのは、「あなたが主導しているんでしょ!」という、ニュアンスが含まれているような言い方です。ロイヤル・ペインズ2-11話より。

 

 

■これについては無実だけど…それについては分からないワ

弁護士のダイアンが依頼人のソニアに夫の潔白を問いただしています。of (オブ)とか on(オン)とか with(ウィズ)とか for(フォー)とかの前置詞はとても覚えにくいですよね。これは of(オブ)の場合ですが、いろんな例文に慣れてイメージして使えるようになりましょう!

グッド・ワイフ 彼女の評決 14話より。

 

-Is he innocent?  「ご主人は無実ですか?」「イズヒーイノセント?」

-Of? 「何について?」「オブ?」

-Hurting her? 「彼女を傷つけたことについて。」「ハーティングハー?」

-Yes.  Yes, he is innocent of that. 「ええ、それについては無実だワ。」

-But sleeping with her.... He's not innocent of sleeping with her? 「しかし、彼女と寝たことについては…、潔白じゃないってことかしら?」「…スリーピングウイズハー?」

-I don't know! 「分からないワ! 」